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1208地底の大冒険 タケシと影を喰らう龍魔王

「地底の大冒険」
タケシと影を喰らう龍魔王

私市保彦:作  いしい つとむ:画
四六判 288ページ 上製 定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86261-114-7 C8093
発行:2015年9月
対象:小学校高学年~

★ご注文について

m1208地底の大冒険

内容

■■バルザック研究の第一人者・私市保彦がおくる、
現代と過去を融合させた冒険ファンタジー■■

 つらいイジメに悩んだ過去を今も引きずる高校生・タケシ。あるときから、彼の住む町では<影が薄くなる>という不思議な病が蔓延しはじめる。影が薄くなった人は、しまいには亡くなってしまうのだ。
 
 タケシの妹・マリーは、「豊年満作」を祈願する祭で、金のバチで太鼓を打つ聖女に選ばれていた。ある日突然、金のバチが盗まれ、マリーも姿を消す。実は、これらはすべて、地底の龍魔王の仕業だった。龍魔王は、聖女・マリーに霊力のある金のバチで太鼓を打たせ、地底と地上の世界を悪で支配することを企んでいたのだ。
 
 タケシはマリーを救うため、ふしぎなきっかけで自分と合体した先祖の「三郎蛇」とともに、地底の龍魔王を倒す旅に出ることになる。地底では、霊力をもった鹿族の長老「鹿男」や、三郎の地底での妻の妹「月姫」と出会い、助けられながら龍魔王の潜む地底の奥深い地へ向かうが、途中、龍魔王の手下たちからさまざまに攻撃をうける。
 また、龍魔王のせいで大切な資源を失い、災厄に襲われている「桶造りの里」と「紙漉きの里」を訪れ、その被害を目の当たりにして、タケシは怒りを募らせる。
 
 龍魔王のもとへ行くには、三つの厳しい山、「炎の山」、「氷雪の山」、「〈大化け〉の山」を越えねばならなかった。臆病で、自分に自信を持てないタケシだったが、妹・マリーのため、自分を信頼し、助けてくれる地底の人々のため、それぞれの山に挑み、龍魔王に立ち向かうことを決意する――。

目次

金のバチと聖女/ふしぎな病/石像と少女/背中のあざ/古墳の森/巻  物/マリーの家出/こわれた橋/待っていた蛇/鹿  男/ユイマン国/桶造りの里/紙漉きの里/燃えあがる山/迷い森/玉探し/森の王/氷雪の魔界/〈大化け〉に呑まれて/黒い川/童謡のメロディーにのって/死  闘/とどろく太鼓

「甲賀三郎伝承」ここに完結!

甲賀三郎については膨大な数の伝説があります。本作の題材となったのは、以下の伝説です。
 
古代、とある国を治めていた父は、三人の息子のうち、特に優れた三男の三郎に家督を譲った。ある日、三郎の妻である春日姫が地底の魔王にさらわれて行方不明になる。三郎は兄たちの助けを借り、大きな人穴の奥にいた姫を助け出すが、姫の大切な鏡を取りに戻った際、嫉妬にかられた兄たちの悪だくみにより、地底に置き去りにされた。地底の国々を訪ね歩き、無事地上に戻ることができた三郎だが、その体は「蛇」になっていた――。

過去、さまざまに物語化が試みられてきた「甲賀三郎伝承」ですが、本作は初めてその完結に成功した物語です。三郎の子孫である高校生の少年・タケシが、蛇となった三郎と合体して、世界を悪で支配することを企む龍魔王との戦いに挑むため、地底への旅に出ます。旅の道中では、伝承をつないできた鹿狩りの狩人にちなんだ「鹿族の長老・鹿男」など個性豊かなキャラクターたちや伝承で語られる地底の国名等が登場し、現代と伝承がリンクしながら、ストーリーが展開します。

著者プロフィール

■作:私市保彦(キサイチ ヤスヒコ)

武蔵大学名誉教授。日本のフランス文学・比較文学者。
元比較文学会会長。その他、東京大学などの非常勤講師を務める。
バルザック、ジュール・ヴェルヌ等のフランス文学の研究、フランス文学を軸に、幻想文学、児童文学での比較文学的研究を行う。また、創作も手掛ける。
1956年、東京大学文学部フランス文学科卒業。
1961年、同大学院比較文学科修士課程修了。

(主な著訳書)
◎創作
『琥珀の町 幻想小説集』(国書刊行会、1998年)
『白い繭─幻想短編集』(沖積舎、2014年、「宗左近文藝賞」受賞)

◎評論・研究
『ネモ船長と青ひげ』(晶文社、1978年)
『幻想物語の文法─「ギルガメシュ」から「ゲド戦記」まで』(晶文社、1987年、のちに「ちくま学芸文庫」所収)
『フランスの子どもの本─眠りの森の美女」から「星の王子さま」へ』(白水社、2001年)
『名編集者エッツェルと巨匠たち』(新曜社、2007年、「児童文学学会特別賞」受賞) ほか。  

◎共編著[編集]
『世界の児童文学』(私市保彦・亀井俊介共編著、国土社、1967年)
『「赤ずきん」のフォークロア──誕生とイニシエーションをめぐる謎』(私市保彦・今井美恵共著、新曜社、2013年) ほか。

◎翻訳・編訳
ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(岩波少年文庫、2005年)
ジュール・ヴェルヌ『二年間の休暇』(岩波少年文庫、2012年)
ミシェル・セール序『ジュール・ヴェルヌの世紀』(私市保彦監訳、石橋正孝・新島進訳、東洋書林、2009年)
ウィリアム・ペックフォード『ヴァテック』(国書刊行会、1990年)
バルザック『幻想・怪奇小説選集1〜5』(「百歳の人」、「アネットと罪人」、「呪われた子」、「動物寓話集」訳、水声社、2007年)
バルザック『芸術/狂気小説選集全5巻』(「絶対の探求」、「赤い宿屋」訳、水声社、2010年)
バルザック『神秘の書』(編集・「あとがき」と「ルイ・ランベール」訳、水声社、2013年) ほか。

■画:いしい つとむ
1962年、千葉県香取市に生まれる。
主な絵本の作品に『なつのかいじゅう』『つきよのゆめ』(ポプラ社)、『わたしのゆきちゃん』(童心社)、
『子どもたちの日本史』『妖怪の日本地図』(大月書店)、『ふたごのどんぐり』『カブトムシのなつ』(文研出版)など。
主な挿絵の作品に『またおいで』(あかね書房)、『おまじないのてがみ』(文研出版)、『はなよめさん』(ポプラ社)など、多数ある。

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