2110麦畑になれなかった屋根たち
麦畑になれなかった屋根たち
内容
太平洋戦争中、現在の東京都武蔵野市にあった中島飛行機武蔵工場。
ここでは、戦争で敵への攻撃に使われる飛行機のためのエンジンがつくられており、
いちばん多い時には、5万人もの人が働いていました。
戦闘機のパイロットを夢見る、少年工の耕一さんもその一人。
夢に近づくため、一生懸命に勉強をし、仕事に取り組んでいました。
しかし、戦争が激しさを増してきた1944年、
アメリカははじめての本格的な日本本土への空襲に、
この工場を選び、たくさんの人が亡くなりました。
重要な拠点をまもるためにとられた対策は、
1000人ものペンキ屋さんを動員して工場の屋根を塗り、
周囲の麦畑と同化させる、というものでした。
耕一さんはひと安心しましたが、
アメリカはすでに偵察を終えて、工場の場所を正確に把握していたのです。
そして、耕一さんはさらなる悲劇を目撃することになります・・・・・・。
※本書は、1995年に童心社より刊行された絵本「麦畑になれなかった屋根たち」を復刊したものです。
著者プロフィール
文・藤田のぼる(ふじた のぼる)
1950年、秋田県に生まれる。父は海軍の旧職業軍人だった。
秋田大学卒業後、東京都内の私立小学校教諭を経て、日本児童文学者協会事務局に勤務。児童文学の評論・実作両面で活動。
著書に『児童文学への3つの質問』(てらいんく)、創作に『山本先生新聞です』(岩崎書店)、『みんなの家出』(福音館書店、第61回産経児童出版文化賞フジテレビ賞)などがある。
絵・永島慎二(ながしま しんじ)
1937年、東京に生まれる。
国民学校(小学校)1年の時に東京板橋で空襲にあう。
『花いちもんめ』(青林堂)で第十七回小学館漫画賞を受賞。
主な作品に『少年期たち』『漫画家残酷物語』『愉しかりし日々』(朝日ソノラマ)、『黄色い涙』(青林堂)、さし絵に『まいごのきょうりゅうマイゴン』(金の星社)などがある。