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4121細谷建治児童文学論集 Ⅲ

てらいんくの評論
細谷建治児童文学論集 Ⅲ
新美南吉論/異質のイメージあるいは……

細谷建治:著
A5判 456ページ 上製 
定価:5,000円+税
ISBN978-4-86261-148-2
発行:2019年10月

★ご注文について

9784862611482細谷健治児童文学論集【3】400

内容

児童文学批評を通じて「子ども」と「文学」の関係を問い続けてきた著者の、50年に渡り発表してきた論文をまとめた待望の論集全3巻。

「ごんごろ鐘」のラスト400字の巽聖歌による改変をフィーチャーした画期的な新美南吉論、『だれも知らない小さな国』の原風景を探る佐藤さとる論、『龍の子太郎』の母親の献身的発想の批判を扱う松谷みよ子論。第3巻では、これら三本の長尺の論を中心に、『おかあさんの木』、『木かげの家の小人たち』、『くらやみの谷の小人たち』、『モグラ原っぱのなかまたち』、『長くつ下のピッピ』、『目をさませトラゴロウ』、『ワルのぽけっと』、『もぐりの公紋さ』、『ぼくら三人にせ金づくり』、「怪人二十面相」シリーズ、「おまかせ探偵局」シリーズ、『ふたつの家のちえ子』、『くまの子ウーフ』、『ぼくらは海へ』、『八郎』、『銀河鉄道の夜』、『ねしょんべんものがたり』、「ちびまる子ちゃん」、『ちょんまげ手まり歌』、『はれときどきぶた』、『砂田弘評論集成』、<自由民主党の「おおきなかぶ」批判>などの幅広い作品や評論等にふれ、小論29編を展開。

目次

【Ⅰ】
新美南吉論―ぼくらがどのように状況にかかわったらよいのかを考えるためのひとつの長い問題提起として―
〝ふたたび偽装を問う〟―新美南吉にとって戦争とは何であったか―
町から村へ、村から森へ―あの狐たちはどこへ行ったのでしょうか―
二つの作品・二つのイメージ 『校定新美南吉全集』
想像する力はとりとめもなくはばたくものだ―『新美南吉全集』の「語注」についての意見―

【Ⅱ】
《出会い》と《本物らしさ》と
コロボックル小国盛衰記―その1・前史―
だれも知らない小さな国
だれも知らないつばきの木―『だれも知らない小さな国』の原風景―
コロボックル小国という名のマイホーム

【Ⅲ】
『龍の子太郎』の発想
《語りつぐ》ということ─『おかあさんの木』について─
いぬいとみこ作『木かげの家の小人たち』『くらやみの谷の小人たち』の連作について。あるいは外界と自我との落差を処理する際に生じる「○○のがわについてかく」発想の批判として
もんく・たらたら。あるいは、いぬいとみこ論序説
ヒーロー論
アンチ・ヒーロー論
作家は子どもの日常生活をどのように把え、描いているか
ピッピ・ナガクツシタにとって《休暇》とは何か?
食物のある風景―アリス・トム=ソーヤー・ハイジ・宝島―
トラゴロウの《不安》 児童文学の中の子どもと現実の子ども
ワルのぽけっとは夕焼けの匂いがする―灰谷健次郎にとって「非行」とは何か―
『もぐりの公紋さ』論
贋金づくりへの誘い―『ぼくら三人にせ金づくり』の魅力―
怪人二十面相と現代児童文学―「おまかせ探偵局」と「怪人二十面相」における《時計塔》のイメージの差異を追って―
ちえ子は逢魔が時をいつ歩むのか―『ふたつの家のちえ子』論。あるいは《家》のイメージについて―
二つの風景・二つの家―ぼくにとっての戦後児童文学五十年―
『八郎』の「したらば、まんつ」について

【Ⅳ】
私的な詩的な指摘―「賢治から何を学ぶべきか?」について―
『ねしょんべんものがたり』批判―主に子どもの側からの問題提起として―
ナットクできないことはナットクできない
「教材としての児童文学」について考えることがいかにつまらないかということについて
『ちびくろさんぼ』シンポジウム(アンケートに答えて)
いま、なぜ「ちびまる子ちゃん」なのか―ぼくらが少し昔をふりかえるとき―
子どもの経済力を分析する

おもしろさとつまらなさの狭間で
ぼくらにとって原っぱとは何であったのか
「事実」と「うそ」と
連帯の想像力
砂田弘の「少年」―『砂田弘評論集成』のこと―
異質のイメージあるいは思い込み、思い違い、うそ付き、決め付け、レッテル、きわめつけに遭遇したときに批評家は何をするかについて

著者による覚書
解説/新美南吉論そして異質のイメージ、あるいは……の先に  藤田のぼる

解説より抜粋

子どもの「読み」の実相を探る、というのは、児童文学評論家の見果てぬ夢といえるかもしれない。僕を含む多くの大人たちは、作品の文章の「意味」というところから、意味と子どもとの対話というところから作品を語ろうとしてきた。「意味」は読者のものでもあるが、どちらかというと作者の側のものであろう。しかし、イメージはより読者の側のものであり、しかもそれぞれ個々の読者のものである。細谷は「異質のイメージ」という言葉で、それを更に読者の側、子ども読者の側に引き寄せようとする。作品を、意味から、大人から、作者から奪還しようという企てを、言わば細谷は五十年近く続けてきた。その模索の跡がこの全三巻の評論集である。(藤田のぼる/児童文学評論家・作家)

著者プロフィール

細谷 建治(ほそや けんじ)
1946年群馬県生まれ。群馬大学教育学部卒業後、東京都江戸川区の小学校に、40年ほど勤め退職、現在に至る。
日本児童文学者協会会員。日本児童文学学会会員、児童文学評論研究会会員。個人誌『童話ノート』を刊行。
「どろぼうたぬき」で第一回船橋市文学賞、児童文学部門文学賞受賞。
編著に『資料戦後児童文学論集全三巻』(偕成社)。
共著に『国語教科書攻撃と児童文学』(青木書店)、『現代児童文学の可能性』(研究=日本の児童文学4、東京書籍)、『児童文学批評・事始め』(てらいんく)。

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